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五一  ほうとう息子のたとえ話


 イエズスさまは、つぎのようなたとえ話をなさいました。

 ある所に二人の兄弟がありました。弟は家を出たくなったので、お父さんに、「財産を分けて、私の分をいまください」と願いました。お父さんは息子の言うとおりに、財産を分けてやりました。そこで息子は、分けてもらった財産をみな一まとめにし、それを持って、遠い外国に出ていってしまいました。

 息子は外国で毎日だらしのない生活を送り、しまいには、分けてもらった財産も残らずつかい果たし、一文なしになってしまいました。

 その上運悪く、ちょうどそのころ、その国に大ききんが起こりました。息子はその日の食べものにも困るようになり、ある人のぶたの番人に雇われましたが、「ぶたのえさでもよいから、おなかいっぱい食べてみたい」と思うほどでした。しかし、何もくれる人はありませんでした。

 息子は心からくやんで思いました、「自分はお父さんのところへ帰ってこう言おう、『私は神さまに対してもお父さんに対しても、たくさんの罪を犯しました。もうあなたの子と呼ばれる資格はありません。ですからどうぞ、せめて雇い人として使ってください。』」こう決心した息子は、父の所へ帰ってきました。

 遠くから、みすぼらしい姿で帰ってくる息子の姿を見たお父さんは、可哀想に思い、かけよって首を抱き、接吻しました。息子は、恥じてお父さんに、「お父さん。私は神さまに対してもお父さんに対しても罪を犯しました。もう、あなたの息子と呼ばれる資格はありません」と言いました。けれども、お父さんは召使いに言いつけました、「早く、一番いい着物を出して、着せてやってくれ。それから指輪をはめさせ、はきものをはかせてやってくれ。それから、宴会を開いて楽しもう。この息子は死んだのに生きかえり、失っていたのに見つかったのだから。」


一 心から自分の罪をくやんだ人を、神さまは喜んでお赦しになります。そしてこのほうとう息子の父のように、やさしくむかえてくださいます。


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